保護犬活動を始めるきっかけになった、ミニチュアピンシャー


 「犬を飼いたい」「すでに飼っています」
 という人は、どのようにして犬を迎えるのでしょうか?
 最近はペットショップだけでなく、
 譲渡会の機会も増えて「里親になった」
 という方も多くなりましたね。
 

 今回は、私が殺処分対象の犬たちの
 レスキュー活動をするきっかけになった、
 迷い犬のミニチュアピンシャー・とろろ(オス)の
 保護と里子に出るまでの話を書いてみたいと思います。
 

 

 すでに我が家にはボランティア団体から
 Mix犬(おそらくドーベルマン&ダルメシアン)
 のルナを譲渡してもらっていました。
 

 私の妹が近所のお寺で迷い犬のミニピンを捕獲し、
 保護したはいいが一日中吠えてどうしようもないと言って、
 とりあえずうちで預かることになったのですが
 結局のところ飼い主は現れることはなく、
 吠えも酷かったので捨てられたのだと思われます…
 犬の所有権がこちらに移りました。
 

 このミニピンは当初、本当に
 まったくしつけが入っていませんでした。
 

 マーキングはもちろんですが、
 一番酷かったのは、食べている時と
 寝ている時以外は吠えっぱなし。
 

 人の姿が見えるとピタリと止まりますが、
 いなくなるとケージの中から吠えて吠えて
 吠えまくって、人を呼びつける。
 ケージから出せと主張しまくりました。
 

 こうした場合の対処法はいくつかありますが、
 一番穏やかな方法の「完全無視」4日間かけて、ようやく理解しました。
 どちらが先に折れるか、ここがポイントですね。
 

 とにかくまぁ動きがちょこまかと騒がしいこのミニピンには、
 「落ち着いた子に育って欲しい」
 という願いから、名前は「とろろ」にしました。
 とろろが従順な態度に変わったところで、
 すぐに服従訓練を開始しました。
 

 獣医の見立てでは生後6ヶ月~1歳くらいとのことで、
 仕込むには遅くはない年齢です。
 せっかくなのでルナとは違う
 英語バージョンで教えましたら、
 隣で見ていたルナも覚えてしまいました。
 なんて賢いんでしょう!(親バカ)
 

 とろろはジャーキーには目がなかったので
 訓練にはおやつを使い、2日で
 「シット」「ダウン」「ステイ」「カム」
 の基本をマスターしました。
 

 落ち着きのない犬種は飽きやすいので、
 覚えたとしても毎日繰り返し
 この訓練を欠かさずやりました。
 

 

 ある時、この訓練の素晴らしさに痛感したことがあります。
 ルナととろろを庭から勝手口に入れる際、
 マットの上で「ステイ」をかけました。
 きれいに足を拭いてもらうまでは、
 マットの上で座って待っているというルールになっていました。
 

 それが、このルールに気がゆるくなった様なのです。
 2匹が勝手に立ちあがって部屋に入ろうとしたのです。
 

 すかさず大声で、
 「ステーーーイ!!!!!!」
 

 この命令には
 2匹が面白いぐらいに飛び上がって、
 マットの上にピタッと並んで座り直しました。
 

 かなり笑える光景でしたが、
 飼い主の命令は絶対です。
 10分でも20分でも30分でも、
 解除されるまでは勝手に動いてはいけません。
 

 この服従訓練は主従関係の確立だけでなく、
 外出先でも使えるようになります。
 

 そして私はしばらく犬たちをそのまま放置して、
 そのままうっかり解除するのを忘れてしまいました。
 

 どうなっていたと思いますか?
 3時間くらい経っていたと思います。
 

 “犬がいないな、どこへ行ったんだろう?”
 

 探したら、さっき私がステイを掛けた
 マットの上で待ちくたびれて
 伏せして待っていました(笑)
 

 

 この訓練が後々、外出先での事故を防いだりもするのです…
 

 

 とろろはその後、
 とても従順な犬に変身しましたが、
 我が家にはとろろとは気の合わない
 気性の荒いアビシニアンの猫がいたため、
 ボランティア団体を通じて
 新しい里親を探すことになりました。
 

 そして、とろろに里親希望者が現れ、
 そのトライアル中、ある事件が起こりました。
 (トライアル:2週間お試し飼いしてもらってから正式譲渡しています)
 

 里親さんご家族がとろろを散歩中、
 どういうわけか首輪が外れてしまい、
 その瞬間とろろが逃走したのだそうです。
 ミニピンはとても足が速く、
 人が追いかけても絶対に捕まりません。
 走って行ったその先は大通り。
 里親さんはなりふり構わず大声で叫んだそうです。
 

 

 「ステーーーイ!!!!!!」
 

 

 そうしたら見事、
 とろろはピタリ!と止まったそうです。
 

 

 「近づいたら逃げるんじゃないかと思ったけど、
 ちゃんとステイしていました」
 と里親さん。
 

 電話口で成り行きを聞いて
 ホッと胸をなで下ろしました。
 

 里親さんもよくその場で「ステイ」の
 かけ声が出たものだなと感心しましたが、
 私が3時間マットの話をしたのが
 強く印象に残ったそうで、
 ご家族で「シット」「ダウン」「ステイ」「カム」を毎日やっていたそうです。
 

 

 とろろは正式譲渡となりました。
 とても素敵な里親さんです。
 

 里親さんにも犬のストーリーがあります。
 とろろを選んでくれたのもこれも運命なんだろうなぁと思います。
 

 前に飼っていた愛犬が亡くなって以来、
 家庭内が寒い冬のような心地だったと言います。
 奥様は散歩中のよその犬を見て、
 自然と涙が頬を伝ったそうです。
 

 “これではいけない”
 

 最期まで看取ったことのある方は
 命と向き合う経験からか、
 保護犬から選びたいとご応募くださる方が多いです。
 

 「このコを飼うとお家の中が明るくなると思います」
 みたいなことを私は掲載文に書きました。
 それが奥様の心にヒットされたそうで、
 とろろに応募されたとのことでした。
 

 とろろを迎えた初日から本当に
 家の中が明るくなった、と、
 それはそれは大変喜ばれました。
 

 とろろも怖い猫がいなくて
 自由にのびのびと走り回って、
 里子に出して正解だったと思います。
 

 

 里子に出した後は尾を引かないように
 あえて会わない様に配慮したりするのですが、
 家が近かったこともあり、
 譲渡後も時々遊びに行ったり来たりと、
 とろろとは縁が続きました。
 

 

 ある日、とろろを2泊預かる事になった夜、
 とろろが夜泣きをしたのでびっくりしました。
 

 “ああ、もうすっかり里親さんちのコなんだなぁ”
 と元飼い主の本音としては、
 少し寂しくなりました。
 

 これには里親さんもすごく驚かれていましたが、
 「はい!もうウチのコです!」と満面の笑みでした。
 

 

 保護犬は里親さんが決まるまでの間、
 おうちがコロコロと変わる事になり、
 環境の変化に戸惑うこともきっとあると思います。
 

 けれども、純粋な犬たちは、
 自分に愛情を掛けてくれる人の事を信じていて、
 ひたむきに人間を信じてついてゆきます。
 

 

 

 愛情は必ず伝わります。
 



 子犬から飼っていなくとも、
 

 

 成犬からでも家族として
 

 

 絆を作ることができます。
 

 

 

 

 

 出会いは素晴らしい奇跡です。
 

 

 


 

 

 ペットショップで買って来たとしても、
 

 

 それは十分素敵な出会いです。
 

 


 たくさんの愛情を与えてください。
 

 

 動物たちはそれ以上に愛情を返してきます。
 


 

 そして私たちは幸せな関係を築いていけます。
 

 

 

 

 

 

 たくさんの放棄犬が救われますように。
 たくさんの愛情が動物たちに降り注ぎますように。
 今日もありがとうございます。
 

 

 

 

 

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